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おばあ直伝!食卓の常連、おかず味噌
あんまぁーのアンダーミシュ
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島の家庭の定番「油みそ」で食卓を楽しく

油みそは、米味噌と炒った豚肉を一緒にしたおかず味噌のこと。地域の食卓に欠かせない定番の調味料です。

大泊食品の油みそ(アンダーミシュ)は、石垣島白保村の先代おばぁ(あんまぁー)から受け継がれたレシピで、味噌、豚肉、しいたけ、ごま以外にも秘伝の素材が詰まっています。ごはんにそのまま載せても、野菜やお肉と一緒に炒めても美味しい一品。

生産者:大泊食品 × デザイナー:本田篤司
販売場所:白保日曜市
住所:沖縄県石垣市字白保118


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沖縄の食卓には欠かせない「油みそ」

「心を込めて作っていますよ」そう話し、「ここがミソ」とジョークを飛ばしながら明るく笑うのは、大泊食品の2代目 宮良玲子さん。母から受け継いだ油みその味を守りながら、こだわりの味を日々追究しています。

「油みそ」とは沖縄に古くから伝わるおかずみそで、ごはんの付け合わせやおにぎりの具、酒の肴などに活躍する沖縄の食の定番。かつては豚肉と黒砂糖などの調味料をみそと混ぜ合わせて作る、昔の人の知恵が生んだ保存食でした。

沖縄のコンビニには「まさか知らない人はいないでしょ?」と言わんばかりに普通に並べられている油みそおにぎり。それほどポピュラーな庶民の味ですが、「油みそは島によって、家庭によって、ひと味もふた味も異なる」といわれるほど奥深く、それぞれの家庭の歴史が詰まっているのです。

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味わい深さのヒミツは母の苦労

油みそを石垣島で初めて商品化したのが、玲子さんの母で大泊食品の創業者・大泊秀さん(86歳)。リピーターが多く、今では製造が追いつかないほどですが、ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

秀さんは10人兄弟の7番目。大家族ゆえに苦労の中で育ち、幼い頃から何でも手作りするよう教えられて育ちます。戦後、疎開先の台湾から戻ってすぐに結婚。昭和23年に家族で餅屋を始めますが、やがて思わぬ災難に巻き込まれ、一家は全財産を失うことに。

それからなんとか家を立て直してしばらく餅屋を経営。秀さんの夫・廣さんが病に倒れた後は、秀さんは1人でもできる油みそづくりで生計をたてることに。家庭で受け継いできた味に研究を重ねながら納得の味を作り上げ、平成7年に油みそ一本にしぼり大泊食品を立ち上げました。

「親から教えられるままに来て、子どもを育て、今こうして生きていられるのも、みそのおかげです。この味が子や孫2代3代と続いてほしいと願っていますよ」と秀さん。苦労の中で編み出した味だからこそ秀さんの思いも一層強く、その味わいを深めています。

平成18年には、力仕事ができなくなった秀さんから玲子さんに引き継がれた大泊食品。「たくさん失敗をして本当にいいみそが作れるようになる」
————そう母に励まされながら、玲子さんは試行錯誤を重ね、油みそ作りに精を出しています。


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生きた原料=米みそと向き合いながら

油みその基本は米みそ作りから。
同じ「油みそ」でも地域によって大豆みそを使ったり、麦みそを使ったりとさまざま。八重山地方の油みそは米みそをベースに作るのが特徴です。

甘みがあるため、昔はおやつ代わりにしていたという米みそ。「同じように炊いて同じように作業しても、毎回ひと樽ひと樽状況が違うんです」
と玲子さん。米みその出来具合が油みその出来そのものを左右するため気が抜けません。

「昔ながらの米みその旨味があるんですが、その味を再現できるかどうかが私にとっては挑戦なんですよ」と母親ゆずりの研究熱心さを覗かせます。

実は、昭和54年に川平村に嫁いだ玲子さん。縁は異なもの味なもので、その嫁ぎ先はなんと米みそ屋。義理の母は「みそばあさん」と呼ばれるほどのみそ作り名人でした。油みそ屋の実母と米みそ屋の義母の影響を受けながら、現在の油みそ作りの中でその技術と思いを受け継いでいます。

製法は昔と変わらない工程で。麹には麻の布などで覆いを被せ、湯たんぽを使って温度調節。材料を炊く鍋には、祝い事などでヤギや豚など丸ごと1頭を調理するのに使われてきた巨大な「シンメー鍋」を使用。舟を漕ぐ木の櫂(エーク)を使ってかき混ぜます。「米みそは生き物だから夜中の2時でも来て作業しなくてはいけない」と玲子さん。

「みそは人の気持ちが分かるのか、ワジワジー(=イライラ)しながら作ると美味しくなくなるから、本当に不思議。奥深いさー。」

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これぞ万能!おふくろの味

昔は各家庭で作られていた油みそですが、多くは米みそと豚の脂、黒糖などを使っただけの質素なものでした。大泊家に引き継がれた油みそは、秀さん独自のアレンジが加えられたもの。「中身は企業秘密です」と言いながら教えてくれた材料には、添加物は一切使用せず、豚肉、しいたけ、ゴマなど、自然のままの食材の旨味が詰まっています。

具だくさんで味わい深いうえに米みそ独特の歯ごたえがあるので、そのままビールや焼酎などのつまみにもうってつけ。田楽みその代わりだとか、「もろきゅう」のように野菜スティックに絡めてみると、贅沢な一品ができ上がります。油みそをちょろっと加えることでいつもとは違うドレッシングができたり、炒めたナスが即席で美味しい中華炒めに変身したりと、忙しいママたちにも人気なのだそう。

「白保日曜市などに出品していると、リピーターのお客さんがいろいろなレシピを教えてくれます。へー、そんな食べ方もあるのか…て」。一家の味が、少しずつひとり歩きを始めていました。

母から子へと心を込め、代々受け継がれてきた大泊家の油みそ。その味が一家を飛び出し、海を越え、島の温かい家庭の味を伝えてくれます。