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石垣島の『島人』になりきる旅

  • 出会う
  • 混ざる
  • 自分でつくる
  • 島人の仕事や生活のお手伝いをすることで、ご飯などを提供してもらう。そんなワーキングホリデーのような旅をしたら、ガイドブックには載ってない島の生活や風景を、もっと深く体験し、理解できるではないだろうか…そんな着想から、この旅がはじまりました。
    ローカルでディープな目線の旅から体験できた出会いや発見を、島人になったつもりで紹介していきます。

    この旅の旅デザイナー:波利摩 星也

    東京都出身。民間企業のコンサルタントとしてまちづくり・まちおこしなどに関わる。地域を活性化するプロジェクトに公私問わず取り組み、特に地方都市の魅力を引き出す活動に注力している。

    島の魅力を再発見する旅のプラン

    DAY 01:
    石垣空港着 ー白保日曜市に出すハーブティの収穫お手伝いー 白保集落の集まりに参加
    DAY 02:
    白保日曜市の出店お手伝い(準備・売り子)ーランチ(日曜市のかなっぱ弁当) ー白保の民謡教室の発表会ー石垣空港 発

    DAY01

    島人の生活を体験する。

    『白保日曜市』のお手伝いをすることに。

    島人の仕事を手伝いながら、島のことを学ぶという今回の旅プラン。お手伝いをしたのは、白保集落にあるWWFが運営している施設『サンゴ礁保護研究センター しらほサンゴ村』で毎週日曜日に開催されている『白保日曜市』でした。
    ここは近隣の方々が、それぞれ野菜やお惣菜、民具や工芸品などの手づくりの品を持ち寄って「おすそわけ」感覚で売られている市であり、島の雰囲気をゆったり満喫できる場です。
    この旅では、ハーブティーやハイビスカスのシロップを販売している柳田さんにお世話になりました。

    1日目は土曜日。翌日の日曜市で販売するハーブティーをつくるお手伝いをしました。
    (ハーブティーについてはこちら。)

    合流後、畑にてお手伝いをスタート。

    市内に宿泊していた私は早朝、車で白保地区へ移動。柳田さんとはじめてお会いしました。
    挨拶もそこそこに、早速お手伝い開始!エネルギッシュな柳田さんは、朝からフル回転です。私たちは近所の畑へと移動し、畑では月桃(げっとう)の葉を採ることになりました。

    白保地区は北半球最大とも言われるアオサンゴの大群落をはじめ、サンゴ礁が生息している海が広がるとてもきれいなエリアです。また、昔ながらの街並みが残る地域でもあり、とてもゆったりした雰囲気が流れている、観光客にも人気があるのです。
    そんな白保地区の中でも、観光客があまり入ってこない農道を進んでゆくと、背丈を少し超える月桃の木々が道沿いに広がっていました。この月桃の葉をはさみで1枚ずつ、丁寧に刈り取っていきます。

    もともと白保地区では月桃の葉が各地に自生していて、お茶にするだけでなく、料理を載せるお皿代わりにしたり、おにぎりを包んだりする風習があったそうです。
    生活に溶け込んだ存在だったのですが、最近ではサンゴ礁や地域資源を守り育てるために畑に月桃を植え、海に赤土が流れ出るのを防ぐ堤防の役割も果たすようになっているとのこと。この畑もそのひとつでした。

    お手伝いはどんどん続く。

    日曜市で販売されるハーブティーは月桃だけではありません。グァバ・カンバラなどといった、はじめて名前を聞くような島ならではの葉っぱが、ハーブティーとして販売されています。
    月桃の次は、これらの葉っぱを採りに行きます。到着早々、お宅の庭先にお邪魔しての収穫作業がはじまりました(もちろん、了承を得ています!)。

    ランチは、地元の食堂へ。

    収穫したハーブを乾燥機に入れると、もうお昼の時間。「ランチに行こう」と誘ってくれた柳田さん夫妻と一緒に、近所の食堂に八重山そばを食べに行きました。
    テーブルに座っていると、次々と近所の人が話しかけにきて、世間話がはじまります。こんな話に混ざることができるのも、お手伝いの旅ならではの楽しみです。

    できたての月桃茶。島人とのふれあい。

    柳田さんのお宅に戻り、できあがった月桃茶をいただきました。少しクセはあるけど、すっきりと優しい味に舌鼓。ゆっくりお茶をしながら縁側で風にあたっていると、通りかかった近所の方からグアバの実をいただいたり、初めて会う自分にも話しかけてくれる。皆さん、とってもあたたかい!!

    普段の観光だと、お話しする相手はどうしてもお店の人などに限られてしまいますが、島人と一緒に暮らす生活のなかで世間話などしていると、ほんのひとときでも島人として認められた、むしろ島人になった気分が味わえます。

    この日は、乾燥させた茶葉をパッキングするところまでお手伝い。茶葉だけでなく、ティーバッグもすべて手作りということに驚きました!
    茶葉はすべて、地区の畑や庭に生えているもので、農薬も全く使用されていません。自然の恵みをそのままいただくという、島の暮らしを感じ取ることができます。

    日没後、集落の集まりへ。

    日が沈むと今度は、集落の集まりに参加させてもらうことになりました。島人が集まる店で皆さん、泡盛を豪快に飲んでいきます。集落の方々は本当に気さくな方ばかりで、初めてお会いしたにも関わらず、集落の輪の中に入れていただきました。
    本当に白保集落に暮らしているかのような気分に浸りながら、日曜市に備えるため、よきタイミングで集落をあとにしました。

    DAY02

    旅の目的、日曜市のお手伝いへ。

    『油みそ』との出会い。

    日曜市当日。開催場所となる『サンゴ礁保護研究センター しらほサンゴ村』に向かいます。到着早々、役割分担を行い、これも白保地区で製造されている大泊食品さんの『油みそ(あんだーみしゅ)』を売ることになりました。
    実は『油みそ』のことを知らなくて、「何だろう?みそ?」と不安そうな表情を浮かべていると、「米味噌と炒った豚肉等を一緒にしたおかず味噌」「野菜につけて食べたり、おにぎりの具にしてもおいしい」と、隣にいたおばあが教えてくれました。
    (『油みそ』についてはこちら。)

    日曜市がはじまる。

    ここで驚いたのは、『白保日曜市』は観光地によくあるような朝市ではないこと!早朝にはじまるかと思いきや、ゆっくり10時にスタートしました。ここには地元の方が買い物に来るだけでなく、観光客も結構やってきます。
    お店に立ち、おばあたちに教わったばかりの『油みそ』のおいしさや食べ方を説明していると、「お土産にひとつ!」と買ってくださるかたがたくさん!観光客の方は私同様、『油みそ』を初めて知るかたも多かったのですが、「近所のおばあの手作りなんですよ」と伝えると、皆さん「へえーっ!」と目を輝かせて試食してくれて。その美味しさに感動して、いくつも購入される方が多くて、私もうれしくなりました。

    この日は白保地区で生まれ育った兄妹ユニットによる三線のライブもありました。三線が鳴りはじめると地元の人が自然と踊り出し、それにつられて観光客も踊っていきます。皆が好き好きに、この日曜市を楽しんでいるようでした。

    お手伝い終了。

    開店準備から閉店後の片付けまで、慣れないながらにお手伝いをさせていただきました。市が閉まると、「この2日間のお手伝いのごほうびに」と、出店していた皆さんから味噌汁やお米、手づくりケーキなどをいただきました。
    ランチに食べた、月桃の葉をお皿にしたおにぎりとおかずがセットになった日曜市で人気のメニュー『かなっぱセット』といい、お味噌汁といい、とっても美味しい!!親戚のおばあちゃんの家で食べるような、素朴で愛情のこもった味が印象的でした。

    この集落の方々が大人から子どもまでみんな元気なのは、手づくりのおいしくて新鮮な島の食材を食べて、たくさんの人と楽しくお話をしているからなのかも知れないと、実際に皆さんと一緒に市場で売る側に立って感じました。

    夜は、三線の発表会へ。

    昼間にライブをしていた兄妹も通っているという地元の三線教室の発表会が夜にあるということで、これも見学してきました。
    集落の人たちは小さいころから踊りや三線を習い、伝統芸能を受け継いでいく。皆が楽しそうに踊ったり、唄ったり…子供から大人まで、活力にあふれています。こうやって伝統が受け継がれていくから、島の懐かしさや良さがなくならずに続いていくのだと思いました。

    旅のおわりに。

    普段の旅行では観光地をめぐり、地元のお店で食事をし、そこでのコミュニケーションはありますが、その土地の生活にまで入らせてもらうことはめったにありません。

    今回、お手伝いをしてその対価として食事などのごほうびをいただく、という旅を決行しました。住んでいる人とつながりを持ち、島の暮らしをそのまま体験させていただくことで、観光地を巡ることではみつけられない、島のディープな世界を知ることができたと感じています。