石垣島の最北端にある平久保崎は、市街地から車で1時間ほど離れたところにある岬。小高い丘を登ると真っ白な灯台がポツンとあり、そこから望める東シナ海と太平洋にまたがる海の、360°に広がる大パノラマは、息をのむほどきれい。
ただ、ここから見える朝日が圧倒的に美しいことを、どれくらいの人が知っているだろう。日の出時刻より30分前の、まだ空が真っ暗なうちに灯台に着いたら、水平線の向こうを眺めて心静かに待ってみよう。
白みがかった橙色の空がだんだんと濃くなり始めると、漂う雲は紫色に染まり出す。紅い太陽がグワッと姿を現すと、波立つ海の上にキラキラ輝く黄金の道ができ、届いた光は好きなだけ浴びることができる。
海の碧さや草木の緑に気づかされるのは、日が昇ったあとのこと。この空と海が虹色にうつろう魔法のような時間は、幸福感に満たされるだけでなく、石垣島にやさしく迎えられたような気分になるので、旅の出発点にはぴったり。