古くから「歌の島」と呼ばれる石垣島。伝統行事はもちろん、各家庭の祝いの席でも三線の音色は欠かせないが、その音を決めるのは棹。
「木目が緻密で響きが良い八重山の黒木は棹材として最高級。財産になる三線です」というのは、八重山古典民謡の師範であり、三線職人でもある糸洌長章さん。糸洌さんが営む三線屋にも希少な八重山黒木の三線が並んでいるが、地元の人の多くは、自ら黒木を持ち込んで三線をフルオーダーするという。
「島では、床の間の敷居の柱に黒木を使う習わしがあって、築50~60年後に家を取り壊した後に、その木で三線をつくるんです」。歴史や型や風習など、学べば学ぶほど深いその世界を、三線は感じさせてくれる。