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地域×デザインで何ができる?トークイベントレポート

2013年11月28日、びゅうびゅうと北風が抜けて行く東京・渋谷のFabCafeで、トークイベント「地域×デザインで何ができる? 〜”地方”から”地域”へ。暮らし、働き方、つながりの未来〜」が開催されました。USIO Design Projectプレゼンツ「石垣島カフェウィーク」関連イベントの最終回、外の寒さに負けず熱く盛り上がったトークの様子をお届けします!

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▲クリエイターや地域活性に関心の高い方など60名近くのお客様がいらっしゃいました!

石垣、金沢、東京……それぞれの”地域×デザイン”

ゲストは、1997年から続く金沢発エレクトロニックアートの祭典「eAT KANAZAWA」を仕掛ける宮田人司さん、東京・虎ノ門で働き方の実験するコミュニティ「リトルトーキョー」を企画・運営しているナカムラケンタさん。モデレーターは、USIO Design Projectをはじめ、インターネットの力を活かしたクリエイターと地域の協働プロジェクトを展開してきたロフトワーク・林千晶です。さらにUSIO石垣チームから石垣市役所観光文化課の小笹俊太郎も参加しました!

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▲オープニングは、トークの企画者でもあるロフトワーク・林千晶から。

「インターネットの登場によって、情報の行き交い方や、人々の暮らし方、働き方に大きな変化が現れるようになりました。そしてそれは土地と人の関係にも影響を与えています。かつて”地方”とひとくくりにされていた場所も、それぞれが個性ある”地域”として立ち上がり、様々な情報発信や取組みをしていますよね。今日は実験的な取組みをしている3名を紹介し、地域×デザインの可能性について考えてみたいと思います」

石垣島 USIO Design Project「デザインで外の視点を取り込む」

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▲USIO Design Projectの仕掛人、石垣市・小笹俊太郎もイベントに合わせ、東京に駆けつけました!

(手前味噌で恐縮ですが!)ケーススタディの冒頭は、石垣島USIO Design Projectに込めた想いからスタート。プロジェクトを立ち上げた石垣チームから島の抱える課題とプロジェクトの目的を共有しました。

「石垣は、手の届くところに”暮らし”があるんです」と語る小笹は、イタリア・ミラノ生まれ。その後、日本各地を転々としながら育ち、石垣に移住。在15年という独特の経歴の持ち主です。最初は移住者として「日本なのに外国のような不思議な場所」として石垣に惹かれ、今では新空港開港をきっかけに観光バブルの渦に巻き込まれつつある島の現状に危機感を感じる立場でもあります。

「今、改めて外の視点で島の本当の価値を再発見することが必要なんです。色んな人と一緒に考え、語りあう機会として、デザインを軸にUSIO Design Projectを立ち上げました。リデザインされた名産品10アイテムがそろったとき、島を知らない人にも、モノを通じてその空気が伝わるような、そんなデザインの力に期待しています」

金沢 eAT KANAZAWA「伝統とは革新の連続」

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▲続いて発表されたのは、「蟹に釣られて移住しました」と冗談(?)を飛ばして会場を沸かした eAT KANAZAWA・宮田人司さん。

eAT KANAZAWA(イート金沢)は、人にフォーカスした、デジタルとアートの祭典。伝統工芸や文化遺産のイメージが強い金沢ですが、現代美術で人気の「金沢21世紀美術館」に代表されるように、常に最先端の文化を大胆に取り入れる地域でもあります。宮田さんはそれを「伝統とは文化の革新なり」という金沢独自の哲学に基づいていると言います。

宮田さんもまた、ユニークな経歴の持ち主。バンコクで生まれ、東京でクリエイティブディレクターとして活躍したのちに、3年前に一家で金沢に移住、現在は街全体のプロデュースを仕掛けています。移住のきっかけはeAT KANAZAWAのプロデューサーとして招待され、そのまま金沢を支える旦那衆達から熱心なラブコールを受けたことだそう。「文化、温泉、蟹…… と魅力的な地域資源とともに、やはり人の力が大きい。一方で地域活性に関わるとき、骨を埋める覚悟はあるか?という真剣な問いはズシンと響くものです。地域の人は”住民票”でも、僕らの本気度を試してきます」

今、金沢は、もうすぐ開通する新幹線がひとつの課題となっています。アクセスが良くなるということは、日帰りしやすくなるということ。金沢の観光業のために、「泊まってでも夜の金沢にいたくなる」ような仕掛けを宮田さんは手がけています。

東京 リトルトーキョー「仕事で繋がる新しいコミュニティ」

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▲最後の発表は、リトルトーキョーを仕掛けている、ナカムラケンタさん。

「社会との一番の接点は”仕事”。遊ぶように働く、そんな場所があっていいと思うんです」。石垣、金沢に続いて登場したのは東京・虎ノ門というオフィス街の中心地で「働き方」のコミュニティスペース「リトルトーキョー」を運営するナカムラさん。東京もまたひとつの”地域”として捉えると、少し見え方が変わってきます。
「もともと僕は、建築家を目指し、その後不動産会社に就職したのですが、なんだか仕事のあり方にモヤモヤしていて。毎週のようにバーに通う時期が続いたときに気づいたのが、『場』に大切なのは『人』なんだと思って日本仕事百貨をはじめたんです」ナカムラさんの手がける日本仕事百貨は、普通の求人媒体では掲載されないようなユニークな職種を、独自の切り口で魅力的に紹介する人気Webメディア。

その運営を通して、仕事でつながることの可能性や、新しい働き方への興味が高まっていることが感じられるように。そしてリアルなスペースを借りられる機会ができたとき、大人のキッザニア、というように「仕事」をテーマに架空のまちをつくるリトルトーキョー構想が誕生しました。市民として参加し、自分のなりたい仕事を実践することができる特別な場所……都会の中に生まれたエアポケットのような空間は、新しいカタチの繋がりを育んでいきそうです。

情報と人が行き交う時代

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その後1時間に渡り、熱いディスカッションが展開されました。地域とデザインとひとくちにいっても、その土地の持つ資源、人の温度感、文化や物語など、シチュエーションは様々。ポイントは、「万人に愛されようとすることではなく、一握りのコアな愛してくれる人にどうやって届けるか」ということなのかもしれません。

また、イベントに登場した4名の登壇者全員が「地元がない」と自己紹介していたことも印象的でした(林はアラブ首長国生まれ、ナカムラさんも転勤の多い一家に生まれ育ったそう)。現在は、情報が行き交うだけでなく、土地に強い繋がりを持たない人が回遊しやすい時代なのかもしれません。 そんな”行き交う力”とクリエイティブを組み合せて、地域を元気にしていく人の輪が拡がって行く……わくわくする未来を予感するイベントでした。ご来場いただいたお客様、ゲストのみなさま、本当にありがとうございました!

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